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宇都宮地方裁判所 昭和53年(ワ)451号 判決

原告 小林保雄

原告 小林怜子

右両名訴訟代理人弁護士 岩渕収

同 高橋信正

同 田中徹歩

被告 宇都宮市

右代表者市長 増山道保

右訴訟代理人弁護士 大木市郎治

主文

一  被告は、原告小林保雄に対し金二八八万四六五三円、原告小林怜子に対し金二七八万七二六七円、及び右各金員に対する昭和五〇年九月一一日から支払済みまで年五分の割合による金員をそれぞれ支払え。

二  原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

三  訴訟費用は、これを三分し、その一を被告の負担とし、その余を原告らの負担とする。

事実

第一申立

一  原告ら

1  被告は、原告小林保雄に対し金一〇九四万八八四一円、原告小林怜子に対し金一〇六二万四二二三円、及び右各金員に対する昭和五〇年九月一一日から支払済みまで年五分の割合による金員をそれぞれ支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

との判決並びに仮執行の宣言を求める。

二  被告

1  原告らの請求をいずれも棄却する。

2  訴訟費用は原告らの負担とする。

との判決を求める。

第二主張

一  原告らの請求原因

1  当事者の地位

(一) 原告らは、訴外亡小林宜広(昭和四五年五月四日生、後記死亡当時五歳四箇月、以下「宜広」という。)の実父母である。

(二) 被告は、宇都宮市今泉町四七番地二所在の宇都宮市立陽北中学校(以下「陽北中学校」という。)の設置・管理者である。

2  事故の発生

宜広は、昭和五〇年九月九日午後三時三〇分ごろ、陽北中学校において、他の数名の幼児と共に、同校東側校門の門扉(以下「本件門扉」という。)を押したり引いたり、あるいはこれに乗って片足で地面をけるようにしたりしてレール上の門扉をあるいは左方向へ、あるいは右方向へと移動させて遊んでいるうち、たまたま門扉の最下部に取り付けられている鉄板の門柱寄りの端に乗っていた折、門扉と門柱との間に頭部をはさまれ、その結果、翌一〇日午前四時一五分ごろ、宇都宮市旭町一丁目三四二六番地所在の栃木県済生会宇都宮病院において、脳挫傷のため死亡した。

3  被告の責任

(一) 本件門扉は、高さ約一・六メートル、長さ約三メートルの同型の鉄製の扉二個から成り、扉の最下部(地上約一三センチメートル)には、扉のわくと直角に、幅約六〇センチメートル、長さ約三メートル、鉄板上にコンクリートを施した厚さ約三センチメートルの板(以下「底板」という。)が扉全体にわたって接合してあり、レール上を南北方向に移動させて門の開閉をする仕組みになっている。

(二) 本件門扉の固定装置としては、(1)南寄りの門扉の南端最上部に直径約一・五センチメートルの穴があいており、(2)北側の門柱の西側面の南端上部に直径約一・五センチメートルの穴のあいた鉄板が取り付けてあり、(3)北寄りの門扉の北端下部に直径約一センチメートル、長さ約三〇センチメートルの鉄棒が付いており、(4)北側の門柱の南西角から西方向に約七〇センチメートルの地点のコンクリート地面に直径約一・五センチメートルの穴があいている。そして、(1)の穴と(2)の鉄板は本件門扉を開放した際に、(3)の鉄棒と(4)の穴は本件門扉を閉鎖した際に、それぞれの状態で門扉を固定する仕組みである。

(三) 本件事故当時、本件門扉は開放されていたが、固定装置は使用されておらず、また、二個の門扉を針金で連結する等の措置も採られていなかったため、それぞれ個別に動かすことができた。

しかも、本件門扉は、本件事故の約半年ぐらい前に設置されたもので、事故当時はレールの滑りも良く、幼児一人の力で容易に動かすことができる状態であったし、反面、前記のとおり鉄製で相当の重量もあるため、幼児が遊んでいて誤って門扉と門柱との間に体をはさまれたりすると危険であった。

(四) 陽北中学校は、周囲が住宅地であり、近くに公園等の遊び場所もないことから、かねてから付近の子供らのかっこうの遊び場所となっており、日ごろ、校内に入り込んで遊ぶ子供らは多く、2掲記のような方法で本件門扉により遊ぶこともしばしばあった。

(五) 被告としては、前記のような学校周囲の状況等からして、幼児らが校内に立ち入り、本件門扉を使用して遊ぶことも十分予測し得たはずであるから、それによる事故発生を防止するため、本件門扉を開放時にも閉鎖時にも幼児らが容易に動かせないように固定するなり、二つの門扉を互いに連結して個別に動かせないようにし、更には、立入禁止の標示をして注意を促すなどすべきであったのに、なんの措置も採らなかった。このことは、本件門扉が本来備えるべき安全性を欠いており、その設置・管理に瑕疵があったものというべきである。

(六) 以上のとおり、本件事故は、本件門扉の設置・管理の瑕疵に起因するから、被告は、国家賠償法二条一項により、宜広及び原告両名が本件事故によって被った損害を賠償すべきである。

4  損害

(一) 宜広の逸失利益

宜広は、死亡当時五歳四箇月の健康な男子であり、本件事故がなければ、満一八歳から満六七歳までの四九年間は稼働可能であったから、少なくとも年間合計一一三万七二〇〇円(昭和五〇年賃金センサス第一巻第一表企業規模計男子労働者学歴計一八歳ないし一九歳の平均賃金である月額八万三六〇〇円の一二箇月分に年間賞与その他特別給与額一三万四〇〇〇円を合算したもの)に相当する収入を得ることができたところ、同人の生活費として年間収入額の二分の一を控除した上、逸失利益の現価をホフマン式により算出すると、一〇二四万八四四六円(ただし、一円未満切捨て)となる。

(算式 一一三万七二〇〇円×〇・五×一八・〇二四=一〇二四万八四四六円)

原告らは、右金額の損害賠償請求権を各自二分の一(五一二万四二二三円)あて相続した。

(二) 治療費

原告保雄は、昭和五〇年九月一〇日、栃木県済生会宇都宮病院に対し、宜広の本件事故による治療費として二万四六一八円を支払った。

(三) 葬儀費用

原告保雄は、宜広の葬儀費用として少なくとも三〇万円を支出した。

(四) 慰藉料

原告らは、宜広の死亡により、父母として著しい精神的苦痛を受けたところ、これを慰藉するには各自五〇〇万円が相当である。

(五) 弁護士費用

原告らは、弁護士である原告ら訴訟代理人に本件訴訟の提起、追行を委任したが、その弁護士費用としては各自五〇万円が相当である。

5  よって、被告に対し、原告保雄は一〇九四万八八四一円、原告怜子は一〇六二万四二二三円、及び右各金員に対する本件事故による宜広死亡の日の翌日である昭和五〇年九月一一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払をそれぞれ求める。

二  請求原因に対する認否及び被告の主張

1  請求原因1の事実は認める。

2  同2の事実のうち、宜広が主張に係る日時場所において本件門扉に乗って遊戯中、門扉と門柱との間に頭部をはさまれ、その結果、脳挫傷により主張のとおりの日時、場所において死亡したことは認めるが、遊んでいた状況については知らない。

3(一)  同3の(一)の事実は認める。

(二) 同3の(三)の事実のうち、本件事故当時、本件門扉は開放されていたが、その固定装置は使用されていなかったこと、本件門扉は本件事故の半年ぐらい前に設置されたもので、事故当時レールの滑りはよかったこと、本件門扉は鉄製で相当の重量があったことはいずれも認めるが、本件事故当時、二個の門扉は連結されておらず個別に動かすことができる状態であったこと及び幼児一人の力でも容易に動かすことができる状態であったことはいずれも否認する。本件の二個の門扉は本件事故当時も針金で結ばれ個別に動かせない状態であった。また、本件門扉は、二、三人以上であれば動かすことはできたが、幼児一人の力で容易に動かすことはできなかった。本件事故当時、陽北中学校では校舎改築工事中であったため、工事用車両が本件門扉のある東側校門を出入りしており、また、この門は、学校給食車も出入りし、生徒も通用門として使用していたから、本件門扉は常時開放しておかなければならず、したがって、門扉を止め金で固定しておく措置を講ずることはできなかったものである。

(三) 同3の(四)の事実のうち、幼児らがしばしば本件門扉で遊んでいたこと及び陽北中学校の付近の子供らには近くに公園等の遊び場がなかったとの点はいずれも否認する。原告宅のすぐ近くには八坂神社があり、宜広らは右境内でも遊ぶことができた。その余の事実は知らない。

(四) 同3の(五)は争う。

4  同4の事実は争う。

5(一)  本件門扉に構造上及び設置上の瑕疵はなかった。本件門扉と同様の門扉は、小中学校及び官庁・民間会社等においても多数使用されており、今日までその門扉で本件のような人身事故が発生したことは聞いていない。

(二) 本件門扉が遊具施設でないことは一見してめいりょうであって、本件門扉で幼児が本件のような遊び方をすることは、通常の注意をもってしては予見することができなかった。したがって、本件門扉の管理面においても瑕疵はなかった。

(三) (抗弁)

仮に、被告に責任があるとしても、宜広は本件門扉を使用して遊ぶという危険な行為をしたものであり、両親である原告らは監督義務を怠ったから、被害者側としての重大な過失があり、損害額の算定につきこの過失も考慮されるべきである。

三  抗弁に対する認否

過失相殺についての主張事実(二5(三))は否認する。

第三証拠《省略》

理由

第一当事者の地位

請求原因1の事実は、当事者間に争いがない。

第二事故の発生

請求原因2の事実のうち、宜広が、昭和五〇年九月九日午後三時三〇分ごろ、陽北中学校において、本件門扉に乗って遊戯中、門扉と門柱との間に頭部をはさまれ、翌一〇日死亡したことは、当事者間に争いがない。

第三被告の責任

一  本件門扉は、請求原因3の(一)のとおりの構造・仕組みであり、相当の重量があること、本件門扉は本件事故の半年ぐらい前に設置されたもので、本件事故当時はレールの滑りが良かったこと、及び本件事故当時、本件門扉は開放されていたが、開放された状態で門扉を固定する措置は講じられていなかったこと、以上の事実は当事者間に争いがない。

二  《証拠省略》を総合すると、次の事実が認められる。

1  本件門扉に接合された底板の下部には、両側端から約三〇センチメートルの箇所に戸車が各一対(合計四個)取り付けてあり、これを移動させるレールは約五四・五センチメートル間隔の二本から成り、水平の状態である。各門扉のわく部の両端と中間部には、わく部から底板にかけて、かぎ型の鉄わくが支えとして取り付けられている。

2  本件事故当時、本件門扉には、請求原因3の(二)のとおりの門扉固定装置が設置されていた(《証拠判断省略》)。

3  本件事故当時、本件の二個の門扉は、針金で縛るなどして連結するような措置は採られておらず、個別に動かせる状態にあった上、前記のとおりレールの滑りが良かったため、幼児でも、一人ではともかく、数名であれば比較的容易に動かすことができた(《証拠判断省略》)。

4  陽北中学校の東門(本件門扉)の外側には、南北に走る幅約四・一メートルの舗装道路があり、その周辺は小住宅が建ち並ぶ住宅地や農地であり、陽北中学校の約九〇メートル南には錦小学校があり、また、原告ら住居のすぐ近くには八坂神社がある。本件事故のあったころ、陽北中学校には、付近の児童・幼児らが多数遊びに来て、いたずらをすることもしばしばあり、右中学校の教頭であった石原島ら陽北中学校管理者も当時右事情を知っていた。また、本件事故までに、幼児らがなん回か本件門扉を使用して遊んでおり、本件事故当時においては、宜広のほか、その妹、甲野一郎、乙山春夫らがいっしょに遊んでいた。

5  幼児らの本件門扉での遊び方は、請求原因2掲記のとおりであり、他方、二本のレールの南端にはこれと直角に面して高さ一七三センチメートル、その面の横幅八七センチメートル余のコンクリート製の門柱が設置されているため、幼児らが右のような方法で遊んだ場合には、前記のとおり本件門扉が相当の重量を有することも加わり、幼児が門扉と右門柱の間に体を強くはさまれて事故が発生する危険があった。

三  前記一の争いのない事実と右二の認定事実に徴して被告の責任を判断する。

本件門扉は被告が管理する公の営造物であることは疑いないが、他方、本件門扉が子供の遊具施設でないことは被告主張のとおりである。しかしながら、本件学校が幼児にとっても比較的親しみのもてる中学校であることと前記周辺の状況からすると、その校門や付近の校庭は、本来の利用者である教職員・生徒以外に、幼児を含め周辺住民も事実上立ち入ることが予想され、校門に設置された本件門扉についても、学校に遊びに来た幼児らが、本来の用法ではないにせよ、これをなんらかの遊びの対象とすることは十分にあり得ることであり、被告も予測し得たというべきである。しかも、本件事故当時、陽北中学校では、東門が常時開放され、多数の幼児が校内に立ち入って遊んでおり、かねてから本件門扉で遊ぶ者もあったことに加えて、本件門扉は底板の上に乗ることもでき、滑りやすいレール上を個別に動かせる状態にあったことからすると、危険性の判断能力に乏しい幼児らが本件門扉をレール上移動させて遊ぶことは、しつけにかかわることではあるが、とかく動くものを遊具としたがる幼児の心理特性からしても通常予測し得たというべきである。したがって、本件門扉のような学校用門扉を設計する際には、門扉で子供が遊ぶ事態も想定して安全性につき配慮すべきは当然であり、本件門扉には、転倒防止装置にとどまらず、前認定のように開放時若しくは閉鎖時に門扉を固定する装置が設けられていたのである。そこで、被告としては、東門を開放しておく必要があるならば、右事態及びこれによる事故発生の危険を防止するため、開放状態で本件門扉を固定する装置を使用し、又は針金等で二個の門扉を連結するなどの方法により(なお、立入禁止の標示が事故当時あったとしても、幼児に対する注意喚起の方法としては有効適切とはいえない。)幼児らが右のような遊び方ができないようにすべきであったし、そのような事故回避措置は比較的容易に採り得たはずである。にもかかわらず、被告は、そのような措置をなんら採っていなかったのであるから、本件門扉の管理には瑕疵があり、かつ、本件事故は右瑕疵によって発生したものといわざるを得ない。

したがって、被告は、国家賠償法二条一項の規定に基づき、本件事故により生じた損害を賠償すべきである。

第四損害

一  宜広の死亡による逸失利益

前記第一のとおり当事者間に争いのない請求原因1の(一)によれば、宜広は死亡当時五歳四箇月の男子であったから、同人の就労可能年数は一八歳から六七歳に達するまでの四九年間、その生活費は収入の二分の一と認めるのが相当であり、また、右就労期間中、少なくとも労働省労働統計調査部編昭和五〇年賃金センサス第一巻第一表中企業規模計男子労働者学歴計一八歳ないし一九歳の平均年収一一三万七二〇〇円と同額の収入を取得し得たものと認めるのが相当である。そこで、これを基礎とし、同人の死亡による逸失利益の現価をホフマン式により算出すると、その額は原告らの主張するとおり一〇二四万八四四六円(ただし、一円未満切捨て)となる。

(算式 一一三万七二〇〇円×〇・五×一八・〇二四=一〇二四万八四四六円)

原告両名が宜広の実父母であることは、前記請求原因1の(一)のとおりであるから、原告両名は、右損害賠償債権を各二分の一ずつ相続したものというべきである。

二  治療費

《証拠省略》によれば、原告保雄は、宜広の本件事故による治療費として二万四六一八円を支払ったことが認められる。

三  葬儀費用

《証拠省略》によれば、原告保雄は宜広の葬儀を執り行ったことが認められ、その費用として少なくとも三〇万円を支出したと推認できるところ、宜広の死亡時の年齢、家族構成等を斟酌すれば、右三〇万円は全額本件事故により生じた損害と認めるのが相当である。

四  過失相殺

前記第三の各事実によれば、本件門扉を使用して遊ぶことは、危険な行為であったというほかなく、かつ、その本来の用法に即しない行為であったこともいうまでもない。しかも、宜広は本件事故当時五歳四箇月であったから、同人の保護監督者である原告らは、日ごろから同人に対し、日常の遊戯に際し危険な行動を採ることのないよう適切なしつけを施し、指導監督をする注意義務があったのに、《証拠省略》によれば、原告ら宅から陽北中学校までは、七一五メートル余りの距離があり、大人の足で一五分ぐらいかかること、原告らは、事故の前日、宜広から、右のとおり相当に距離のある陽北中学校まで行ったことを聞きながら、十分な注意を与えず、陽北中学校やその近辺で遊ぶ場合の危険性について特段の顧慮をせずに宜広が陽北中学校付近に行くことを黙認していたばかりでなく、宜広に対し幼児としての安全適切な遊び方について十分な指導をしていなかったことが認められるので、本件事故の発生については原告らにも保護監督上の過失があったといわざるを得ない。

したがって、本件損害を算定するに当たっては、これらの事情も考慮すべきであり、本件門扉の管理の瑕疵の程度は必ずしも大きいとはいえないこと等諸般の事情をも考え併せると、前記一ないし三の各損害額(原告保雄につき五四四万八八四一円、同怜子につき五一二万四二二三円)について、過失相殺としてその七割相当額(ただし、一円未満切捨て)を減じるのが相当である。その結果、前記一ないし三の損害について、被告に賠償を求め得る額は、原告保雄において一六三万四六五三円、同怜子において一五三万七二六七円である。

五  慰藉料

《証拠省略》によれば、宜広は原告らの長男であって、当時の家族構成は、原告両名、原告保雄の母、宜広の妹の五人であったことが認められ、同人の死亡により原告らが多大の精神的苦痛を受けたことは容易に推認できるところであるが、右証拠によれば、原告両名間には昭和五一年に二男が誕生していることが認められ、右四に判断した事情及び本件事故の態様その他諸般の事情を考慮すると、原告らの精神的苦痛に対する慰藉料はそれぞれ一〇〇万円と認めるのが相当である。

六  弁護士費用

弁論の全趣旨によれば、原告らは、任意の弁済を受けられなかったので、本件訴訟の提起追行を弁護士に委任したこと、そして、本件事故の態様、本件訴訟の経過等に照らしてみると、右訴訟委任は必要であったと認められる。そこで本件事案の内容、認容額等を考慮し、本件事故と相当因果関係のある損害として原告らが被告に対し賠償を求め得る弁護士費用の額はそれぞれ二五万円と認めるのが相当である。

第五結論

よって、被告は、原告保雄に対し、第四の四の一六三万四六五三円、同五の一〇〇万円及び同六の二五万円の合計二八八万四六五三円、原告怜子に対し第四の四の一五三万七二六七円、同五の一〇〇万円及び同六の二五万円の合計二七八万七二六七円、並びに右各金員に対する本件事故により宜広が死亡した日の翌日である昭和五〇年九月一一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金をそれぞれ支払う義務があり、原告らの被告に対する請求は、右の限度で理由があるから認容し、その余は失当として棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条、九三条を適用し、本件について仮執行の宣言を付する必要は認められないからこれを付さないこととして、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 奥平守男 裁判官 赤塚信雄 裁判官米山正明は転補につき署名押印できない。裁判長裁判官 奥平守男)

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